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「貨幣について」(さとう三千魚 書肆山田)

さとう三千魚さんは少し前東京から越してこられた用宗在住の詩人です。鈴木志郎康さんに師事されて詩作を続け今までに五冊の詩集を出され、また「浜風文庫」(http://satomichio.net/)という場所で同人の方たちと詩作をされています。
さとうさんはたまにお店に来てくれて、しかし詩のお話をするわけではなく、誰と飲んだんだだとかどこで飲んだんだとか、どの展覧会・音楽会に行ってきただとか、あまたの本のお話などうかがいます。詩もそんなさとう三千魚さんの日常の報告のようで、押しつけがましいところのない詩が多いです。それに音楽好きだからなのか言葉の音感がとても面白いような気がします。
しかしタイトルが「貨幣について」。
ぼくは現在貨幣になかなか苦しめられていますが、そのような貨幣が成り立たせている生計。それを介した人とのかかわり。販売する芸術や販売される芸術について。買う、買わない。売らない、売る。書く、書かない。人に見せる、見せない。すべてにおいてなかなかおっかない主題です。しかもぼくなどはそこからその販売手数料をいただく、上前をはねる身だったりするのだから言葉もないのですが、とにかく押しつけがましくもありませんが、だからといってそのようなことを考える人にとってはきっとずずんと心に残る詩です。

もういい歳なんだからそろそろ詩を畏怖してばっかはよそう。頁の余白の白が怖いなどといって詩を自分から遠ざけるのはよそう。というかさとうさん、実作者にいろいろお話を聞ききながら詩を読むということができるのはほんとに幸運なことです。
さとう三千魚さんの新作詩集「貨幣について」(書肆山田)の販売を始めました。

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