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もう一つの三保の松原

昨日の講義「清水の風光と近代宗教家たち」。天気も良くこんな気持ちのよいお寺が清水にあったのかということにも驚きましたが、講師の大谷栄一さんのお話をとても面白く聞きました。
田中智学の率いる国柱会の本拠地、最勝閣が一時期(1910−1930)三保の貝島に建っていた。三重の塔の立派な建物。その最上階、「待勅殿」は天皇日蓮仏教を国教として定め、その「勅宣」を智学らが待つ部屋であった、ということ。だとすれば、革命まではいかなくても、もし実現すれば、その後の世の中がどうなったのか、良くなったのか悪くなったのかは措くとして、日本の中心が本当に三保にできたかもしれない可能性はあながち夢想ではなかったかもしれない。うーん、びっくり。
大谷さんは、「最勝閣」に国柱会の信徒であった宮沢賢治が本当に来たかどうかについては濁したけれど、でも来なかったとは言わなかった。賢治のお父さんが妹トシのお骨を最勝閣に持ってきたというのは確実らしい。賢治は、当時何をやってもうまくいかなかった時期だと思うけれど、清水駅から当時は三保まで電車が通っていたのだろうか、三保の海岸をとぼとぼ歩いている姿を想像する、そのくらいはしてもいいのではないかという夢想にはつながるお話でした。
古本屋なのに「最勝閣」の写真がなくて恥ずかしいです。「季刊清水」のBNに載っていたとは思い出せますが、その号がない・・・・。