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ノリヤマさんの新作が入荷しました

ノリヤマさんの新作が二点。
中世の図版に描き加え加工をして作られるノリヤマさんの今現在の作風はオリジナルな作品なのかどうか、究極的には今のところ結論は出ないのではないかと、ぼくは思います。もちろんノリヤマさんでなくては作れないものですし、「選ぶ」「剽窃する」という音楽でなら当たり前になされる芸術表現を考えればそれが「真似」であるとか「コピー」などという表現とは断然違うものだと思っています。ノリヤマさんの作品はとても危うい曖昧なところに立つ作品で、だからこそ面白いのだとぼくは考えています(ちなみに上の作品「女教皇」は図版もすべて完全なオリジナル作品です)。
今までの作品は額と絵が一体となっていて、まるで寺院の壁からはぎ取ってきたものをそのまま展示したかのような質感でしたが、新作は標本箱=額に入った造作になっており、はぎ取られた壁に描かれていたであろう1200年前の図版の下にはキャプションが付けられています。図版を作りさらにそれを標本にしている点で今までよりももう一つ手が込んでいます。よく見ていただきたいのは、その標本箱に見立てた額へのこだわり方です。既製品に手を加えて100年ほどの時間を経過させています。そのような時間へのこだわり方を見ることがひとつノリヤマさんの作品の面白さなのではないかと思います。
とてもシックな作品です。でもよく見ると時間が歪みどこかグロテスクささえ漂ってきます。どのように作られたのかを考えながらみる楽しさがあります。
ぜひ一度見にいらして下さい。