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黒旗忌/大杉栄・伊藤野枝追悼墓前祭 「大杉栄伝 永遠のアナキズム」栗原康さん講演のご案内

九月一五日(月・祝)黒旗忌/大杉栄伊藤野枝追悼墓前祭
十六時より栗原康さんの講演があります。一九七九年生まれの三五歳。政治学の研究者です。
その若い栗原さんがどうして大杉栄についての本を書くことになったのか?
文体も面白い書き方をしています。

思想に自由あれ。しかしまた行為にも自由あれ。そしてさらにはまた動機にも自由あれ。(大杉栄「僕は精神が好きだ」)

 これは大杉栄、三三歳のときの文章である。よくもまあ、こんなストレートないいかたができたものだとおもってしまう。ふつう三〇も越えれば、ひとはなんらかのかげりをもっている。ひどい目にあって、あれを言っちゃいけない、これを言っちゃいけないとおもわされ、自分を律してひとに話しかける。あたかも、それが自分の深みであるかのようによそおいながら。自分を大きくみせて、大人であるあかしを立てる。だが、大杉はそういうことをいっさいしない。いつだってありのままであり、好きなことを好きなように表現してしまう。子どもである。それは大杉がなんのつらい目にもあってこなかったということを意味するのではない。大杉は、人生で四回も死にかけ、そのつどもう立なおれないんじゃないかというくらい、へこまされている。
 こんな文体で書き始められている。もちろん政治・思想のことだって、それが専門なのですから、書かれてはいるけれど、でもこの本が面白いのはこの最初の書き出し、素朴な疑問が最後まで貫かれているから。どうして大杉栄が「子ども」つまりは「馬鹿みたい」にいられたのか?いろんな写真を見てみると大杉が写っている写真には笑っている顔のが多い。人と一緒に映っている場合には大概能天気に笑っている。
 その大杉の「感じ」を書いた本は多くはなかったと思う。やはり縊り殺された反体制のヒーロー、もちろんそれは間違いではないけれども、それに真面目な大杉だって確かに居たのだろうけれど、栗原さんのあっけらかんとした「大杉栄伝」を読み、大杉の感じはとても腑に落ちました。またご自分の生活のあり方と照らし合わせながらその大杉のへこたれなさ(間違いも含めて)を掘り起こしていく文章はとても楽しく読むことができました。

もちろん、当時大阪で起こった米騒動が大杉の思想の一つの大きな肝になっていること、また幸徳秋水に対して大杉が外連味ないリスペクトを持っていた、というような栗原さんオリジナルな論考もとても興味深く読むことができました。

面白いお話が聞けると思います。
ぜひ15日会場へ足をお運びください。

会の詳細は下記に
http://d.hatena.ne.jp/suiyouu-bunko/20140802/1406946543