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小川国夫さんの限定本が入りました


丁度昨年末小川国夫さんの単行本のフェアをやらせていただきましたが、今年は小川国夫さんを中心にした限定本を並べることが出来ました。1970年初頭から1980年代にかけて作られたとても凝った造本の本が並びます。桐函に入ったもの、表紙が漆板でできたもの、総山羊革装、ベルベット、バックスキン、表紙にレリーフがはめこまれたもの、単行本の頁中にサインナンバー入りの版画がさしはさまれたもの、扉に原稿用紙をはさみ作家の肉筆原稿が書かれたもの、署名落款・・・。

山羊墨総革装・丸背継見返上製本・三方金・本文=明朝体12ポイント活字34字×14行×行間5号あき一段組・後記組版本文と同じ・原版刷八十八頁・見返し=イギリス製マーブルコッカレル・版画前組=ユポFP・版画紙=フランス製ベランアルシュ中版クリーム薄口・布製二重貼函=函表新羽二重黒・内貼アサヒ別珍赤・段ボール筒箱納・頒価39000円也・・・・・
上の文章は「血と幻」、韻文叢書という1980年代に初谷行雄という方がはじめられた版元で作られた本の説明文です。ぼく自身は本は読めればいいというタイプなので、最初は「無駄に豪華だなあ」くらいに見ていましたが、それを何冊もリストに書き写しているうちにどうにもその執念に気押されて無口にもなろうというもの。少なくとも作家と版元の精神の位相が乖離していたらちぐはぐなものになってしまうはずだし、大文字の「作家」「近代文学」を体現している本なのだろう、と思います。今現在こうした本を作ることが可能なのかどうか(技術的にもそれ以外の理由でも)わかりませんが、少なくともあまり実際手に取ってみる機会も少ない造本の本が並んでいますので見にいらしてください。


「茶色の画帖」三木卓 韻文叢書 昭和55年 装丁・雄谷行 限定50部のうち著者刊本
           著者自筆原稿・署名 


上の写真は「小川国夫の手紙」限定版 海豹社 昭和60年 限定57部のうち1番           
          挿画・野見山暁治 装丁・木谷進 26.5×21.5cm カバ牛革 アク       
          リル樹脂函 署名落款
小川さんのスケッチ、水彩画(28.5×21㎝)がついています。



姉弟」小川国夫 鶴声居(高橋友太郎)カット・若山八十氏 昭和50年 家蔵版17部のうち15番29×29.5 漆塗の表紙 夫婦函 扉に若山版画 署名落款 


「生のさ中に」小川国夫 かながわ豆本の会 昭和46年 桐函に署名 装丁・前田守一 夫婦函

下の本は小川国夫さんのエッセイ集「静かな林」。静岡に関する文章もいくつか入っています。扉の版画は海野光弘さん、静岡市出身の版画家です。小さなとても感じのいい本でした。