水曜文庫の日記 Tel:054-689-4455

静岡の古本屋、買取と販売をいたします 県内伺いますのでご連絡をお願いいたします 〒420-0839静岡市葵区鷹匠2-1-7つるやビル1F

映画☆お兄さんのシネマ・カフェ vol.7「本のある場所」の感想

12月27日19時より、映画☆おにいさんのシネマ・カフェ vol.7「本のある場所」を行いました。

『三人の名付け親』(ジョン・フォード,1948)
わが谷は緑なりき』(ジョン・フォード,1941)
『すべての革命はのるかそるかである』(ストローブ=ユイレ,1977
アーノルト・シェーンベルクの《映画の一場面のための音楽》入門』(ストローブ・ユイレ,1973)
セリーヌとジュリーは船でゆく』(ジャック・リヴェット,1974)
『天国は待ってくれる』(エルンスト・ルビッチ,1943)
ファウスト』(F・W・ムルナウ,1926)  F. W. Murnau - Faust (Full) - YouTube
『世界の全ての記憶』(アラン・レネ,1956)Toute la mémoire du monde – YouTube

上記の映画の断片、「本」が映画・物語を推進する場面を次々に写していきます。映画☆お兄さんは多言を弄することなく簡潔に解説をし、参加者に感想を求めていきます。ツタヤには置いていない、置いていたとしても通常の生活では手に取ることは無さそうな映画・・・。
まずはジョン・フォードが二本、アウトロー三人組が砂漠の真ん中で赤ん坊を救命するために読む育児本、そのうちの一人が逃避行のうちに死ぬ場面で読まれる聖書、足を怪我した少年の精神を救う牧師が貸してくれた一冊の本・・・。
ステファヌ・マラルメの革命的な詩「賽のひと振りは決して偶然を廃棄しないであろう」を、 1871年パリ・コミューンの闘士の最後の拠点となったペール・ラシェーズ墓地の芝生 に座った、様々な言語を母語とする九人の男女が代わる代わる音楽的に朗読する(アテネ・フランセ文化センターのHPより)朗読映画、シェーンベルグの音楽を説明するテキストを延々と朗読する映画、図書館のなかで冗漫にすぎるほど長回しで撮られたセリーヌとジュリーが出会う場面、従弟の嫁さんを略奪する嫌味なハンサム男とヒロインが出会う本屋でのワンシーン。
最後二本、まず無声映画ファウスト」がスクリーン(エンチョーで買ってきたクロス)に映し出されたときには鳥肌が立ちました。民衆の病を治すことができないファウストはやけになってそれまで勉強に使ってきた本を机から引き倒し火にくべて行くのですが、その狂気。無声映画をナメていました。映像のかっこいいこと!
フランス国立図書館の模様を描く「世界の全ての記憶」は圧巻でした。ことさら大仰な音楽をバックに一冊の本が検印を押され図書館の奥深く深くさまざまな行程をへて棚に収まるまでを追うシーンはまるでカフカの迷宮小説を読んでいるような奇妙な感覚にとらわれました。

あまたの映画のなかからどういう取捨選択をしたのか、どのように映画を観てきたのか、もっと映画☆お兄さんに聞いてみたいことはあれど、気がつけばもう十時過ぎ、あっという間に時間は過ぎてしまいました。映画の魅力はもちろん、「ねえおもしろいでしょ!」「こんな見方もできるんだぜ」とデッキからディスクを引き出し次々と映画を入れ替えていく映画☆お兄さんの立ち居がこれからさまざまな映画を観るエンジンになりました。
参加者は映画☆お兄さん、ぼくを含め11人。

映画☆お兄さんのブログは下記に
http://gogolatalante.hatenablog.com/