現代はとっくに文学の世界ではない。文章は冗談とお噺のマイナーな世界に閉じこもってしまった。
滅びゆく森のどこに隠れた小径を見つけられよう。
それでも言葉によって生きたい。それによってしか真に生きられないという人びとが存在する以上、
森の深みに通じる小径はおのずと光を放たずにはおかぬだろう。
熊本には石牟礼道子、伊藤比呂美、坂口恭平という生命にみちた言葉の発信者がいる。
このささやかな雑誌は、そういう人たちが喚起する世界を、ひとつの伝統として受け継いでゆくことになろう。
上記は発刊に際しての渡辺京二さんの文章です。地域性がうらやましいのは真実ですが、「うらやましい」ではすまされません。ちくしょーと思いながら大事に読もうと思います。店中央に並べていますので、ぜひ見にいらしてください。
「詩経試訳」伊藤比呂美・「鬱どきのスケッチ」坂口恭平・「歳月」大津円・「上田秋声 死首のゑがほ」渡辺京二・「石牟礼道子の歌」浪床敬子・「カナタバル奇譚」高山文彦・・・・「くすの芽」石牟礼道子 目次抜粋