これはうれしい、「井東憲詩集」が入荷しました。
大逆事件以降戦争へと突き進もうという空気のなか、静岡の町で小説・詩作を続けた静岡にはなかなかいないタイプの憂い顔の作家です。二丁町とも縁が深いのは社会運動が弾圧されつくした末のエログロナンセンスを地でいこうという気風もあったのか。詩を読むと、構成主義的な作風・都会を標榜するような作風・変態作家気質、またプロレタリア文学などが入り乱れているような気がします。一つだけ書き出してみます。
眉
入梅明けの雷雨の底から飛出て来た女
眉を落せ
俺が
その鼠色の奮式な愛欲を殺してやる
お前には
俺の心臓のメスがわからないのか
俺の科学的幻想を飲んで
そら・・・・・・・
この赤い光波の鋭角で
逆轉だ