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「読書談義」二回目の様子とこの後の予定

14日に「読書談義」を水曜文庫にて開きました。
話者が二人、岡さんと鈴木さん。聞いた人がぼくを含めて五人、七人の会になりました。
この会では冒険・ミステリー・エンターテイメントな小説を選んでお話をしてもらうという趣向なのですが、今回はそのなかでも「映画」にかかわる小説二冊についてお話をしていただきました。

ますは岡康史さんが「秘密指令オヨヨ」(小林信彦 ちくま文庫)について。
あらすじから、オヨヨシリーズ最終話の本作についての位置づけ、小林信彦の作家性、当時の時代背景、頻出する小ネタの説明などを丁寧に話してくださりました。岡さんは訥々と丁寧に話される方ですが、その端々に小説への外連味ない愛情が垣間見えるのが聞いていて楽しい。
第二次大戦末期、ユダヤ人コメディアンが作ったナチ礼賛の映画をめぐって1970年当時の状況のなかで中国人、日本人、謎の怪人が引き起こすこの物語、小林信彦の小説をなんとぼくは初めて読んだのですが、とてもスタイリッシュで批評精神あふれる小説として読むことができました。

ちょっとだけ休憩をして鈴木教弘さんの「フリッカー、あるいは映画の魔」上・下(セオドア・ローザック 文春文庫)についてのお話。
いつもながら丁寧でカラフルなレジュメをいただき、エンタメというには長大で複雑な構造を持つこの小説についてわかりやすく説明。主人公ゲイツの成長物語、物語のなかで批評を担うクレアなど登場人物たちの説明から、リュミエール兄弟、アンリ・ラングロワ、オーソン・ウェルズの「闇の奥」(コンラッド)など映画に関する薀蓄を経て、文庫下巻の黙示録的スリラーへとなだれ込んでゆく流れを説明していただく。
ある種この物語は作者によるサブカルチャー批判であり、メイン・カルチャーを経たうえでのサブカルチャーでないと面白くないんじゃないかという批評なのではないかという作者の問いかけまで。

聴者五人がお話の合間にいろんな疑問をさしはさみながら聞きました。七時から始めて時間はやはりすぐに過ぎてしまい十時手前。
次回はひと月飛んで一月半ばを予定しております(日は追ってご連絡)。自由参加なのでご興味の方はお気軽にご参加ください。
次回予定 岡康史さん「夏への扉」R・A・ハインライン(ハヤカワ文庫)
     鈴木教弘さん「ゴーリキー・パーク」 M・C・スミス(ハヤカワ文庫)

また「映画」つながりということはありませんが、12月27日に『映画☆おにいさんのシネマ・カフェvol.7』という会も行います。まだテーマは決まっていませんが、面白い見たことのないような映画について映画☆おにいさんがお話をしてくれると思います。フランス映画社が倒産してしまいましたが静岡には映画☆おにいさんがいるのできっとで大丈夫だと思います。http://gogolatalante.hatenablog.com
合わせてよろしくお願いいたします。